防災重点農業用ため池、53カ所で整備完了 三重県議会一般質問

【一般質問した、(右から)中瀬古初美議員、青木謙順議員、森野真治議員、山本教和議員】

三重県議会6月定例月会議は14日、中瀬古初美(新政みえ、3期、松阪市選出)、青木謙順(自民党、6期、津市)、森野真治(新政みえ、5期、伊賀市)、山本教和(自民党、10期、志摩市)の4議員が一般質問した。農林水産部は、決壊すると人的被害を与える恐れがある「防災重点農業用ため池」のうち、昨年度までに53カ所で整備を終えたことを明らかにした。本年度は9カ所の整備に着手する予定。12年度までに175カ所での着手を目指す。青木議員への答弁。

医療分野でも支援を

中瀬古 初美議員(新政みえ)

ひきこもりの当事者を医療の分野でも支援する必要性を強調。医療保健部は精神保健に関する事例共有などが「十分でない」とし、関係機関の連携を図る考えを示した。

【プロモーション】

中瀬古議員 本年度の組織改編により、政策企画部が戦略的なプロモーションを進めることになった。知事の強力なリーダーシップでプロモーション推進方針を策定するとのことだが、どのようにプロモーションを進めるのか。

知事 三重には歴史や文化、自然、食などで良いものがたくさんあるが、宣伝しなければないのと同じ。県内には遠慮がちな人が多い。これまでは県全体のプロモーションについて考える部局はなかったが、今後は政策企画部で考えてもらいたい。

【ひきこもり】

中瀬古議員 ひきこもりの当事者に対する保健医療分野での支援を充実させる必要がある。子ども・福祉部や市町の担当部署、支援機関などは十分に連携しているのか。広域的な支援を充実させる上で、医療保健部の役割は。

小倉医療保健部長 ひきこもりの背景に精神疾患の疑いがある場合は医療分野と福祉分野の連携が重要。県ひきこもり地域支援センターと市町は精神保健の事例共有などで十分に連携できていない。関係機関との会議や訪問への同行などで連携を強化する。

温泉での観光施策は

青木 謙順議員(自民党)

日本の温泉文化について無形文化遺産への登録を目指す動きがあると紹介し、観光政策での位置づけを尋ねた。一見知事は「観光資源としない考え方はない」とし、魅力の発信などに努める考えを示した。
【ため池】

青木議員 農業用ため池が決壊すると、周辺で浸水や土砂崩れなどを誘発する可能性がある。県内には3千を超える農業用ため池があり、うち人的被害を与える恐れがある防災重点農業用ため池は1338ある。早期の整備を。

中野農林水産部長 令和3年に策定した計画に基づき、緊急性の高いものから整備している。4年度までに53カ所の整備が完了した。本年度は九カ所の整備に着手する。整備には多額の費用と年数が必要。国には予算の十分な確保を要請している。

【温泉】

青木議員 観光振興に重要な役割を担う温泉文化を次世代に継承し、世界に広げるため、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を目指す動きがある。県は観光戦略の中で温泉をどう位置付け、どう取り組むのか。

知事 温泉は神話の時代から人々の生活と密接に関係してきた。県内も「七栗の湯」をはじめ、多くの温泉がある。観光振興に温泉は重要。観光資源としない考え方はない。もっと宣伝したい。ユネスコの文化遺産登録によって弾みが付くことを期待する。

救急搬送時間短縮は

森野 真治議員(新政みえ)

全国的に救急搬送の現場到着や病院への収容までにかかる時間が増加していると指摘。防災対策部は県内の所要時間について「全国平均より短いが、増加傾向にある」と報告した。

【マイナンバー】

森野議員 全国で相次ぐマイナンバーカードの誤登録問題は「消えた年金」問題を思い出す。大きな社会問題の反省が生かされていない。マイナンバー制度への不信感が広がっている。問題への認識と解決への取り組みは。

松下デジタル推進局長 デジタル社会の実現には安心してサービスを利用できることが重要。誤登録などの問題が重なり、制度への信頼が損なわれることを危惧している。市町への聞き取り調査を進めている。利用者目線に立った適切な対応に努める。

【救急搬送】

森野議員 消防庁によると、救急車の現場到着にかかる時間は令和3年の全国平均で9・4分、病院に収容されるまでの時間は42・8分。前年から増加している。県内でも同様の課題があると思う。所要時間短縮の取り組みは。

山本防災対策部長 県内では現場到着所要時間は9分、病院収容所要時間は40・6分。全国平均より短いが、増加傾向にある。消防職員の教育や消防本部間の連携に努め、救急車の適正利用を呼びかけている。医療機関の受け入れルールも検証している。

観光客の回復状況は

山本 教和議員(自民党)

訪日旅行者数がコロナ禍前の7割に回復したとし、県内の状況を尋ねた。観光部はコロナ前の4割程度にとどまり、回復が遅れていると報告。関西方面を訪れる旅行者の誘致などに取り組む考えを示した。

【交通大臣会合】

山本議員 志摩市で16日から交通大臣会合が開かれる。7年前に軽井沢で開かれた交通大臣会合では、交通インフラの老朽化などが議論された。今回も有意義な議論を期待する。開催県の最高責任者である知事の意気込みは。

知事 7年前の伊勢志摩サミットで高い評価を受けた結果が、今回の開催につながった。交通の新技術や公共交通の維持などについて議論されるので、その成果を活用したい。三重の魅力発信もポイント。会合が成功するように全力を挙げる。

【インバウンド】

山本議員 4月の訪日旅行者数はコロナ前の約7割まで回復した。3月には、伊勢志摩や周辺地域が国の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」のモデル観光地に選定された。訪日旅行者の誘致に向けた取り組みは。

増田観光部長 県内では3月の訪日旅行者が約1万3千人で、平成31年3月の約4割。東京は回復が先行しているが、地方は遅れている。海外でプロモーションに取り組む。大阪・関西万博などの機会を生かし、関西を訪れる外国人旅行者を誘致する。