子育て支援や定住促進 三重県「人口減少対策方針」最終案

【人口減少対策方針の最終案を共有する県幹部ら=県庁で】

三重県は26日の人口減少対策推進会議で、令和8年度までの4年間で実施する人口減対策の方向性を示した「人口減少対策方針」の最終案を公表した。子育て支援などの自然減対策や定住促進などの社会減対策を進めると明記。10年後には「人口の減少幅に緩和の兆しが見える」とする展望も描いた。

県によると、最終案は今年3月に公表した中間案に国の対策や有識者の意見を反映させて策定した。県議会への説明やパブリックコメント(意見公募)などを経て「早期に成案を取りまとめる」としている。

最終案は従来の人口減対策を「若者の転出超過などが課題と認識していたが、集中的・効果的に取り組めていなかった。調査や分析が十分でなかった」などと総括。国や市町、企業との連携不足も指摘した。

その上で、結婚や子育ての支援、働く場の確保といった対策を「選択と集中で進める」と明記。ジェンダーギャップの解消やデジタル技術の活用といった「新しい視点に基づく対策」にも取り組むと定めた。

合計特殊出生率や転出超過が改善している状況を、10年後の展望として明記した。県内就職者の割合や県外からの移住者数、男女を引き合わせた件数など、対策のKPI(重要業績評価指標)も設けた。

一方、令和22年には150万人程度に減少すると推計される県の人口に関する数値目標は設けていない。人口減少対策課は「人口の目標を具体的な数字で掲げることは難しかった」としている。

このほか、最終案は「対策が効果を発揮したとしても、人口減が長期間にわたって続くことは確実」と指摘。地域のあり方を巡る市町との検討や外国人が安心して暮らせる地域づくりを進めると明記した。

この日の会議で一見勝之知事は「これからは実行に移すことが大事。各部局が協力してほしい」と県幹部らに指示。「企業の協力も得なければならない」と述べ、官民でつくる連絡会議を設ける考えも示した。