民間主体で工業用地確保 津市が取り組み

【定例記者会見に臨む前葉津市長=市役所で】

【津】三重県の前葉泰幸津市長は24日の定例記者会見で、新たな工業用地の確保に向け、民間事業者が主体となった整備に取り組むとした。市内の工業団地が逼迫(ひっぱく)している状況の中、用地の買収から造成、分譲を手がける民間事業者を募集し、早期の活用につなげたい考え。

市では公的工業団地として、中勢北部サイエンスシティ(分譲面積84・9ヘクタール)とニューファクトリーひさい工業団地(同46・6ヘクタール)を造成。進出企業は総勢83社に上り、分譲はすべて完了している。

一方、企業などから工業用地に対する問い合わせは堅調とする。令和4年は26件と前年の約4倍に急増しており、用地不足が顕著となっているという。

そこで新たな対策として、専門的なノウハウを持つ民間の開発事業者が主体となった工業用地の整備を目指すことにした。これまで、公的団地では開発から分譲開始まで約20年かかっており、早急な整備にも期待する。

用地買収から造成、分譲、維持管理まですべて民間事業者にゆだねる。企業が自社進出に伴うものは含まない。市は手続きを円滑に進めるなどの支援を行う。場所を特定せずに幅広く募集するのは県内でも初めてという。

候補地の条件としては、市都市計画区域を念頭に、災害リスクの低減▽良好な交通アクセス▽操業環境の優位性─とする。具体的には伊勢自動車道IC(インターチェンジ)から5キロ以内、中勢バイパス沿道から500メートル以内など。また、一定のまとまった土地が必要なことから1カ所につき最低5ヘクタール以上とする。これらを踏まえた上で、約60ヘクタールを目安に整備したい考え。

今年8月までに募集要領をまとめた上で、10月ごろから募集を開始。候補地の選定や造成工事などを経て早ければ8年9月の分譲開始を目指している。

前葉市長は「(市の公的工業団地は)赤字を出しておらず成功しているが、長期間にわたり相当な時間や人件費がかかる」と述べ、民間事業者による確保に期待を示した。