「地域おこし隊」三重定住率54% 全国平均下回る

三重県議会は24日、総務地域連携交通と防災県土整備企業の両常任委員会を開いた。地域連携交通部は都市部から地方に移り住む「地域おこし協力隊」について、任期終了後の定住率が54・5%にとどまっていると報告した。上昇傾向にはあるが、全国平均(65・4%)を下回っている。県は隊員を受け入れる市町との「ミスマッチ」などが原因と分析。「定住につながる支援に努める」としている。

制度開始から79人

〈総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)〉
県内では、地域おこし協力隊の制度が始まった平成21年度以降で145人が任期を終えたが、うち県内に定住したのは79人にとどまっている。

【定住率】
地域おこし協力隊は都市部から地方に移住し、報償費を得て地域活性化などに取り組む制度。最大3年の任期を終えた後も定住してもらうことが狙い。県内では80人の隊員が18市町で活動している。

総務省の調査結果によると、県内で任期を終えた隊員が定住する割合は上昇傾向にあるが、おおむね50%前後で推移している。調査を始めた平成29年度以降、全国平均を10ポイントほど下回り続けている。

県の地域づくり推進課は定住率が低い主な理由に、仕事が見つからない▽仲間が少ない▽市町とのミスマッチ―があると説明。担当者は「市町と隊員による意思疎通が十分でないケースがある」と話す。

県は定住率の向上を目指し、隊員の能力を高める研修会や隊員同士の交流会を続ける方針。国が派遣したアドバイザーの指導を受けて隊員を採用する度会町のモデル事業を他の市町にも広げるという。

発注者への不当要求にも対応

〈防災県土整備企業=石垣智矢委員長(7人)〉
県土整備部は県警や弁護士会などでつくる建設工事不当要求防止協議会の規約を改定し、今後は公共工事の発注者が受けた不当要求にも対応すると報告した。

【不当要求】
県によると、協議会は内水面漁協の組合長=当時=が恐喝容疑で逮捕された事件を受けて令和3年6月に発足。規約には、公共工事の受注者が不当要求を受けた場合に事案や対応策を共有すると定めた。

一方、昨年10月には公共工事を発注した熊野建設事務所の職員が新宮漁協の理事=当時=から不当要求を受けたが、当時の規約は被害者を公共工事の受注者に限っていたため、対応の対象ではなかった。

このため、県は翌11月に規約を改定。協議会が対応する事案に、公共工事の発注者が受けた不当要求も含めた。県土整備部は「発注者が不当要求を受けた場合も協議会で情報共有を図る」としている。