2023年5月5日(金)

▼春闘は政府の強い後押しもあって満額回答に沸いたが、非正規春闘2023実行委員会の約500人アンケートでは、9割近くが生活苦を訴え、8割近くが賃上げの予定もないと回答した。労組の組織率が3割を大きく切っていることを思うと、正規、非正規の格差はますます激しくなる結果となった

▼子どもを産みたいという願いがさらにくじかれるということである。少子化の流れの中で、子どもが欲しいと希望する男女はそう落ちてはいない。正社員の子どもの数も2人程度で長年推移している。問題は非正規の家庭であり、シングルマザーなどの余裕のなさであることは歴然としている

▼国などの少子化対策が夫婦と子ども2人の標準家庭で、正規雇用が対象。非正規雇用家庭との支援金額に10倍以上の開きがあるといわれる。育児休業手当はその名の通り育児で休業でき、職場復帰できる女性が対象であり、退職が当然と見なされる非正規にとって恩恵はない

▼男性の育児、子育て休暇制度なども同様。多くの社会保障制度も正規を想定して設計されていると言って過言ではない。結婚する以外、あるいは離婚しない以外、根本的解決の道はないのである。非正規労働者が多数を占める社会で、子どもを持ちたい希望は断念せざるを得ない

▼古来、日本では赤ん坊を新芽や若葉に見立て「みどりご」と呼んだ。祝日が「みどりの日」「こどもの日」と続くのも縁なしとしない。新発足の「こども家庭庁」は「こどもまんなか社会」がスローガン

▼子どもだけを見つめても、少子化対策にならないのは言うまでもない。