元市幹部ら起訴内容認める 名張市の贈収賄事件、津地裁初公判 三重

三重県名張市発注の営繕工事の随意契約での便宜の見返りにゴルフクラブを授受したとして、収賄罪に問われた元市職員中西隆之被告(52)=百合が丘東=と、贈賄罪に問われた元会社員中井章仁被告(32)=百合が丘南=の初公判が1日、津地裁(西前征志裁判長)であり、2人は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

津地裁は2人の公判を分離し、中井被告については被告人質問などを経て即日結審。検察側は懲役10月を求刑した。判決は6月5日に言い渡される。

検察側は冒頭陳述で、「遅くとも令和元年ごろに電気工事に関する調査をきっかけに知り合って懇意となり、随意契約の見積もり合わせの際に提出すべき見積額を教示するなど受注を取り計らうようになった」と指摘した。

そのうえで、中西被告が同市内6カ所の放課後児童クラブ電源切り替え工事で、1カ所で元請け、もう1カ所で下請けとして中井被告の会社が工事を受注できるよう調整する見返りとして、ラインを通じてゴルフクラブの供与を要求したと指摘。提出見積額を伝えるなどして便宜を図ったとした。

中井被告に対する論告で、検察側は「下請け業者を利用してゴルフクラブ代金を立て替え払いさせ、自社に工事代金を水増し請求させて代金を捻出するなど手口は巧妙で悪質。自身の営業成績を上げて社内の地位向上を図るために依頼した経緯や動機に酌量の余地はない」と強調した。

弁護側は、「積極的に犯行の計画を立てたのは共犯者の中西被告。利益を得たのは会社で本人に利益はなく、行為結果も重大ではない。寛大な判決を」などとして執行猶予を求めた。

起訴状によると、中西被告は同市都市整備部営繕住宅室長として、市が随意契約で発注した小学校区放課後児童クラブ引き込み電源切り替え工事などに関し、便宜を図った見返りとして令和3年5月31日―7月20日までの間、当時小川電気工事取締役の中井被告から、同市内の公園内駐車場でゴルフクラブ15本(合計46万円)を受け取ったとしている。

中西被告は別の工事でも担当した事業者から現金18万円を受け取ったとして収賄罪で起訴されている。