鍼灸師が認められた ― 藍綬・保健衛生功績 一見隆彦氏(64)

【一見隆彦氏】

「受章は支えていただいた会員と関係者の方々のおかげ。鍼灸師が認められたことに大変感謝している」と喜びを語る。昭和55年に鍼灸師免許を取得し、病院勤務を経て、同61年に一見鍼灸院を開設した。

東洋医学の治療法の一つである鍼灸で、個々の自然治癒力を引き出して健康状態に戻すための後押しをしている。

幅広い年齢層の患者と共通の話題で打ち解けられるよう、日々の新聞やネットであらゆる情報を得ている。問診票だけでは分からない家庭内や対人関係の心配事など、施術中の雑談を通して不調の原因が分かることもある。「ずいぶん楽になりました」という患者の笑顔が何よりの励みだという。

平成27年から日本鍼灸師会理事を務め、就任中、東京2020オリンピックで鍼灸師が医療スタッフの一員として選手と大会関係者に鍼灸施術ができるようJOCと交渉し、鍼灸師の参加を実現させた。また、会長を務めていた令和2年、東海地域初となる県との「災害時における業務提供協定」を締結した。南海トラフ地震が懸念される県として、自らも災害医療研修を受講し、協定の必要性を訴えながら県と地道に交渉を重ね、締結へと導いた。得た知識は全て会員らと共有している。

鍼灸医学は総合的な観察力がものをいう職業で、研修会や医学書だけでは伝わらないところが多くあり、これをどのように後進に伝えていくかを常に考えている。令和四年には、鍼灸師として後進の育成、指導や保健医療の向上に尽力したとして知事表彰を受けた。
「鍼灸師を天職として、先輩諸氏が積み上げてきたことを継承しながら、生涯、鍼灸治療の普及に力を注ぎたい」と意欲を語った。

〈略歴〉平成6年県鍼灸師会理事就任。同21年―令和元年日本鍼灸師会理事。27年―令和3年まで県鍼灸師会会長。令和元年―同3年日本鍼灸師会東海北陸ブロック会会長。同3年日本鍼灸師連盟委員。