自然の中で育む学童クラブ 中村さん、菰野町に開設

【二見さん(右後方)による読み聞かせを楽しむ子どもと母親たち=菰野町潤田の学童クラブかざみどりKidsで】

【三重郡】菰野町潤田の中村美帆さん(35)がこの春、学童保育施設「学童クラブかざみどりKids」を同所に開設した。中村さんが立ち上げた合同会社「BASE ON」が運営する。

築50年の古民家。敷地内には母屋と離れ、蔵もある。子どもや母親たち20人ほどが、母屋の部屋に集まった。今月13日に行われたのは、読み聞かせのイベント。伊勢市から「えほんと童話の店 みやがわ書店」の店主、橋村孝子さん(85)と、絵本作家の二見正直さん(44)が来訪した。二見さんは自身が手がけた絵本「もっとおおきなたいほうを」を読み聞かせた。畳の上にごろんと寝転がって聞く子もいる。おやつ休憩を挟んだ後は、橋村さんが持ってきたたくさんの絵本や児童書の中から、学童に置く本をみんなで選んだ。

「かざみどりKids」のコンセプトは「地域と子どもの未来を創造する」。自然豊かな菰野町は、都会では味わえない体験ができる。学童の目の前の畑で野菜を育てたり、ヨモギを摘んでみんなでよもぎ餅を作ったり、タケノコ掘りにも出かけた。習字や英語の時間も設けている。プログラミングやヨガにも挑戦したりと、子どもたちはさまざまな経験を積んでいく。スタッフは9人いて、3人体制で子どもの育成をサポートしている。現在、町内2小学校の1―5年の児童10人が通う。

中村さんは伊勢市出身。名古屋大学を卒業した。ヨガ講師でもあり、7歳、4歳、6カ月の3人の子どもを育てている。約2年前に菰野町に新居を構えた。名古屋市や四日市市で子育てをしていた時期もあり、教育に対する地域差を感じていた。

菰野町は子育てに関心のある人が地域に多いという。「ここでなら自然と人とのつながりの中で、子どもたちが豊かな時間を過ごすことができる」と確信。地域の子どもや保護者のために自分にできることはないか考え、学童保育施設の開設を決断した。

中村さんは「学童でのさまざまな活動を通して、子どもたちには自分に自信をもてる子になってほしい」と願っている。