麻栽培へ、種まき神事 明和町など産学官8団体 三重

【麻を置いて執行した種まき神事=明和町斎宮のいつきのみや地域交流センターで】

【多気郡】三重県の明和町など産学官8団体で麻栽培の復活に取り組む「天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクト」は15日、同町斎宮のいつきのみや地域交流センターで種まき神事を執り行った。国史跡「斎宮跡」の麻畑3カ所で育てる。

同プロジェクトは同町や皇學館、三重両大学、栽培業者、明和観光商社などで結成。古来から麻とゆかりのある同町を「麻の聖地」と捉え、麻に関する歴史文化の継承と、栽培の担い手確保、麻産業の振興を目指す。

復元建物「さいくう平安の杜」横など斎宮跡内の町有地や遊休農地の約60アールで、幻覚成分をほとんど含まない品種を栽培する。3、4カ月で高さ約3メートルに伸びる。種まきは雨のため延期した。

神事は約100人が出席し、皇大祭式研究部が執行。世古口哲哉町長は「麻と深いつながりを持っている明和町でプロジェクトが始まり、うれしい。町、県、日本の活性化につなげていければ」と意気込みを語った。

式後、記念講演「麻績みの郷、斎宮~なぜ明和町で麻(大麻)なのか~」を開催。麻績神社など麻に関係の深い神社や地名が数多く残る同町について皇大神道研究所の佐野真人准教授らが語り合った。

神事で使う麻は栽培許可の取得が難しいため生産者が減少してきたが、国が大麻取締法を改正し、栽培規制から活用へ方針転換している。