<高校野球・挑戦の春>木本・「淡々と」甲子園目指す 選手の意識や評価向上

【新学期を迎え、新入部員との対面式に臨んだ木本ナイン=11日、熊野市木本町の木本高校で】

昨年秋の県大会で、ベンチ入り上限に満たない部員13人でベスト4入りし、第95回記念選抜高校野球大会の21世紀枠東海地区候補校にも選ばれた木本(熊野市)。センバツ出場はかなわなかったが、甲子園が近づいたことで選手の意識や周囲の評価も向上。冬を通してさらに力をつけ、春には、新たな戦力も加わった。今夏に春夏通じて初の甲子園出場を目指して、15日に開幕する春の県大会に挑む。

「淡々と」がチームスローガンの木本。センバツの落選が決まった時も選手たちは「淡々と」していたと話す西垣戸洋一部長。4月に菰野高校OBの小林祐哉監督が着任するまで監督も務めていた西垣戸部長は、「ベスト8に入り(夏の大会の)シードを取りたい」と春の目標を掲げ、「結果を残しつつ、自分たちの課題を再確認してもらえれば」と選手の成長を期待する。

昨秋の県大会でベスト4まで進出したものの、準決勝で三重、3位決定戦で海星と、甲子園出場経験校に敗れた。走攻守に優れ、プロからも注目される久保尊捕手は昨秋の県大会について、準々決勝までは「自分たちの野球ができた」が、準決勝からは観客も増え、「雰囲気にのまれてしまった」と振り返る。

その後、秋の躍進と21世紀枠の最終候補に選ばれたことで野球部の注目度は増した。大会前にはセンバツに出場した県外の高校とも練習試合を行い、遠征先で声をかけられることもあった。以前よりメディアの取材も増えたが、久保は取材も「経験」として生かし、「木本高校の名前が売れた」と前向きに捉えている。

守備ではチーム事情から、中学で経験があった捕手を1年秋から務め、エースの榎本和真投手や地区大会でも先発した西功一郎内野手らの投手陣をリード。「守りからリズムをつくる」木本らしい野球を目指す。打順は3番を打ち、「1本欲しいときに打ちたい」と打点を稼ぐことを自身の役割として認識している。

腰の痛みにより、本調子ではなかったというが、冬の間に痛みも癒えた。チーム全体として食生活を見直すなど、体づくりを徹底。投手の平均球速も速くなり、チームの課題だった打撃力もレベルアップしてきた。昨秋は東海大会への出場があと一歩届かなかったこともあり、「東海大会を見てみたい」と春の目標を掲げる。

新年度からは小林監督が着任。11日には新1年生9人が加わった。部員数は22人になり、13人だった今までより練習メニューの幅が広がる。現部員との対面時には、榎本主将が「一緒に甲子園を目指して頑張りましょう」と新入部員に伝えた。「淡々と」、そして強い思いを持ち、大会を迎える。