<高校野球・挑戦の春>三重・野田主将「一戦一戦」闘志 甲子園目指しチーム引っ張る

【挑戦の春】

3年連続の夏の甲子園へ―。三重(松阪市)ナインの合い言葉だ。昨年夏の県大会で優勝して2年連続14度目の全国高校野球選手権出場。秋の県大会も制したが、続く秋の東海大会準々決勝で敗退し2季連続の甲子園出場はならなかった。憧れの甲子園に足を踏み入れた感動と、あと一歩で出場を逃した悔しさを味わった3年生を中心にこの春新たな一歩を踏み出す。

【1年から甲子園メンバー入りの三重・野田主将=左端。守備でも仲間を引っ張る=2022年9月、松阪球場で】

春の県大会開幕を前に、沖田展男監督が「夏に向けて1試合でも多く経験したい」と話す。ここ数年、夏、秋の県大会で決勝常連の三重だが春の県大会の結果は芳しくない。昨年はベスト8で敗退した。主将で主砲の3年生、野田泰市外野手は「今年はしっかり優勝できるよう頑張りたい」と頂点を見据えている。

過去甲子園に出場してきたメンバーを多く擁する。昨年夏の甲子園は初戦の横浜戦でスタメン9人中6人を野田ら1、2年生が占めた。その経験から2季連続の甲子園も期待されたが、勝てばセンバツの切符が近づく秋の東海大会の準々決勝で大垣日大(岐阜)に2―4で敗れた。敗戦後、夏の甲子園に目標を定め直し、日常の生活から見つめ直してきた。

野田は秋の東海大会以降、沖田監督の助言もあって、野球人生初の主将を務めている。1年夏からベンチ入りし、高校通算19本塁打を記録する周囲も認める中心選手だが「人前でしゃべるのが苦手」。それでも「キャプテンをすることで人としても成長したい」と大役を受ける決心をした。

グラウンドの内外でチームを引っ張る中で同級生の存在の大きさを再確認。口べたな自分が言葉に詰まると「勉強が特にできる」家城秀太、自分同様1年で甲子園を経験した捕手の高山亮太らが助けてくれる。試合では高校入学後初の4番を打つが、「先頭に出てほしい時必ず塁に出てくれるし、サヨナラホームランも出せる。自分が理想とするバッター」の3番打者大越渉が力強く自分を引っ張る。

「個性的で優しい」同期と「最後の夏甲子園で終わりたい」という思いは日ごとに強くなっている。三重高として幸先良いスタートダッシュを切るとともに、結果が夏の県大会につながる春の県大会に向けて「プレッシャーもあると思うが一戦一戦頑張っていきたい」と闘志を燃やす。


県内に球春を告げる、第70回春季東海地区高校野球三重県大会(県高野連主催、伊勢新聞社後援)が15日に開幕し、地区予選を勝ち抜いた26チームが参加する。昨年から結果が夏の県大会のシード決めに反映され、夏を占う大会としても注目される。熱戦に挑む26チームのうち注目チームを紹介する。