情報収集力高かった武四郎 松阪の記念館、原稿解読「豆遊日誌―」出版 三重

【松浦武四郎の「豆遊日誌」】

【松阪】松浦武四郎記念館はこのほど、武四郎の原稿を解読した「豆遊(ずゆう)日誌二・三、下田日誌、海防策」(A5判、208ページ)を300冊出版した。三重県内の図書館に寄贈し、松阪市小野江町の同館で1冊税込み800円で販売する。

同館は平成15年から武四郎自筆稿本を刊行し、19冊目となる。武四郎研究者の佐藤貞夫氏が原稿の解読と編集に当たった。

豆遊、下田両日誌は1854年、日米、日露両和親条約締結のため再来航したペリー、プチャーチンとの交渉を偵察した取材メモ。それぞれ宇和島藩、津藩から調査を依頼され、つながりのある幕臣の配下に加わり、交渉を詳細に記録した。日本初の写真撮影の場面や、安政東海地震の津波で沈没に至ったロシア船などを記す。

海防策は昭和8年の「日本海防史料叢書」に収録されている。佐藤氏は「学者流の抽象論ではなく、自らの耳目を通して得た海防の考え方をまとめた重要な書」と評価している。

武四郎が乗船して描いた米国艦船の平面図を表紙に使った。同館は「武四郎の情報収集能力の高さがうかがえます」と閲覧を呼びかけている。