斎宮跡で麻を栽培 産学官で振興プロジェクト 三重

【「さいくう平安の杜」(右奥)と麻の栽培予定地=明和町斎宮で】

【多気郡】三重県明和町など産学官8団体でつくる「伊勢麻振興プロジェクト」は22日、同町斎宮の国史跡「斎宮跡」内で麻を栽培すると発表した。復元建物「さいくう平安の杜」横などで4月15日に種をまく。

麻は神事で使うが、栽培許可の取得が難しいため生産者が減少してきた。

プロジェクトは、伊勢神宮と関わる斎宮跡や「麻」を社名に含む麻続(おおみ)神社があり、古来から麻とゆかりが深い同町に着目。斎宮跡内の町有地や遊休農地の3カ所約60アールで、幻覚成分をほとんど含まない品種を栽培する。麻に関する歴史文化の継承と農業として麻生産の確立、担い手の確保、麻産業の振興を目指す。

さいくう平安の杜で記者会見し、栽培業者や明和観光商社、伊勢麻振興協会などが出席。大麻取締法改正に伴い国が栽培規制から活用へ方針転換した背景や、3、4カ月で高さ約3メートルに育つ麻の特性を紹介した。

【世古口町長(左から4人目)ら伊勢麻振興プロジェクトのメンバー=明和町斎宮で】

世古口哲哉町長は「麻への熱い思いを一つにして取り組んでいく。地域全体、そして日本の活性化につながると確信している」と抱負を述べた。

皇學館大学の髙向正秀常務理事は神宮大麻や大祓(おおはらい)神事などを挙げ、「麻は神社神道にとって欠かせない。おはらいの霊力を有する植物」と説いた。

三重大学の酒井俊典副学長は「農業だけでなく工業、薬学、医薬で大変有用」と活用に期待した。