2023年3月12日(日)

▼県教委が木本(熊野市)と紀南(御浜町)両高の活性化を目指すと平成24年、紀南地域高等学校活性化推進協議会を設置した。以来「統合ありきではない」と言い続けてきたが10日、県議会常任委で令和7年に統合し、2校舎制にすると報告した

▼同年に高校活性化推進協議会を発足させた伊賀地区は統合、南勢地区は南伊勢高の南勢校舎(南伊勢町)が6年度から入学者募集を停止し通信制のサテライト教室に移行する。11年に達する各地区の協議の結果にむなしさがこみ上げてくる

▼もともと少子化で中卒者が減少する対策として発足した協議会である。「活性化」は余剰校舎の「活用化」と同義だったに違いない。月内に松阪地域で、来年度は津地域と鈴鹿・亀山地域でも協議会が発足する。11年は統合への期間短縮に無駄ではなかったのかも知れない

▼この間、少子化を取り巻く環境は激変した。その一つは一見県政の誕生である。一見勝之知事はそれまでの県の少子化対策のお粗末さにあきれ、昨年を「人口減少対策元年」、今年は「計画実行」の年と位置づけた。移住と定住の促進や働く場の確保などで人口減を抑える、としている

▼教育行政も新たな視点が求められないか。県立大学構想も県外への人材流出防止が目的だったが、小中高が足並みをそろえて統廃合を進める地域に、子育て世代が移住、定住してくるはずはあるまい。少子化に追従する「高校活性化推進」策から、地域をアピールする真の小中高活性化を模索すべきだろう

▼教育だけが少子化の背中を押し続ける施策であってはなるまい。