みやがわ書店が創立65年 記念誌発刊、絵本の魅力届ける 三重・伊勢

【店のあゆみや絵本への思いをまとめた創立65年記念誌を手にする橋村さん=伊勢市小俣町本町のみやがわ書店で】

【伊勢】三重県伊勢市小俣町本町の「みやがわ書店」が創立65周年を迎え、記念誌を作成した。現在は絵本専門店として、絵本の魅力を伝え続ける二代目店主の橋村孝子さん(85)は「赤ちゃんからお年寄りまで、いろんな世代が絵本に触れる憩いの場でありたい」と話す。

店は1957年、橋村さんの両親が創業した。雑誌なども扱う町の小さな本屋で、20歳だった橋村さんは顧客への配達などを担当したが、結婚を機に名古屋へ。子育てする中、絵本に魅了され、絵本や児童書の基礎知識を学んだり、読書会を開くなど活動した。

父が亡くなったことなどから橋村さんは伊勢に戻り、40歳で店を引き継いだ。将来は絵本専門店を開きたい思いがあったという。転機は、59歳で胃がんをわずらったこと。「今やらないと。すぐにでも絵本と童話の専門店にしなきゃ」と病を乗り越え、翌年に念願の専門店としてリニューアルオープンした。「絵本は心の栄養」との思いで、これまで絵本の読み語り会や講演、原画展の開催、絵本作家を招くなどして、その魅力を発信してきた。

昨年に65周年を迎え、周囲の勧めもあり記念誌をつくった。店の歴史のほか、絵本の楽しみ方や橋村さんの講演の一部、交流のある絵本作家らの寄稿文などを掲載。絵本「はらぺこあおむし」で知られる作家の故エリック・カールさんとの交流も紹介している。

橋村さんは「いろんな人に支えられ、絵本に触れた子どもたちから学ぶこともたくさんあった。絵本や読書は、人生を豊かにしてくれる。子の心に栄養を与えるのは大人の役目。生涯現役で活動していきたい」と話した。