2023年1月13日(金)

▼前知事は何かといえば海外視察を繰り返し、財政ひっ迫の一因ではないかと言われたりした。当時から確実視された国会転出への準備を県費でやっているのではと思ったりもしたが、初の海外出張とはいえ、コロナ禍で新規感染者が過去二番目。死者は過去最多の19人。危機とした病床使用率60%超えの中。一見勝之知事の海外出張もどんなものかという気はする

▼「報告は毎日受け必要な指示はした。副知事以下の留守部隊を信頼していた」―というのは県内に1281人の犠牲者を出した昭和34年の伊勢湾台風時に海外出張し、被害の大きさを知った時点でなぜ帰国しなかったかを議会に問われた田中覚知事の答弁趣旨。現実には、県民に選ばれた立場ではない公務員が政策の決断をするのはいかがかと考えて、議会議長の野呂恭一氏に相談して進めたと副知事は語っていた

▼コロナと伊勢湾台風と比較するのは意味ないが、県の重大事に知事はどうあるべきかを考える好機ではあろう。マスク外しが議論になっていた第八波の直前から到来の兆しになって、マスク会食がほとんどなくなったなどと県民の油断を指摘した知事である。ひところ求められた「不要不急」という言葉を思い出してみたりする

▼出発直前の五日の会見で「感染力はすごく強いと聞いているが、重篤化率は低いと。やがて収まってくるのではないか」。七日から11日の知事不在の不安な四泊五日は終わった。上機嫌な現地での写真が送られてきていた。いまごろ、ああまたあの憂うつな県に戻るのかと思っているわけではなかろうが。