2023年1月5日(木)

▼自治会問題で揺れた津市の市長選を巡る展望で、自民県連関係者のコメントがおもしろい。「前葉(泰幸)氏が不正を働いていたわけでもなく、内部統制室を設けるなど一定の改善策も講じた」。「不正を働く」が文字通りの意味なら推薦問題というより辞任問題だろう。いわゆる「法に触れていなければ政治家はいいんだ」ということか

▼前葉市長の対応は結果的に、このコメントを引き出すためだったようにも見える。自治会問題でいち早く顧問弁護士による検証委員会を設置したのは張本人を別にあつらえ、自身の直接関与を明確にした。競艇CM収賄事件での職員200人の大緊急研修は改善姿勢をアピール

▼検察、津地裁の「常習的犯行で悪質」の指摘は、続く勤務時間内の常習的飲酒および運転職員問題とも連動しかねなかったが、切り離しに成功した

▼4カ月後に迫った今年の統一地方選の市長選の焦点は、津市が「無投票阻止か」で、鈴鹿市の新人が「無投票阻止」、松阪、いなべ両市も現職の動向が注目。コロナ禍、物価高の中で、市の将来を問う論戦は期待できそうにない

▼県職員の出世競争で、二通りのタイプがあった。有能は共通するが、一つは在任中に例え泥をかぶっても一仕事仕上げるタイプ。もう一つは危うきに近寄らぬタイプ。見て見ぬふりが、これに当たる

▼首長選も、選挙に強いのは施策を推進、あるいは改革断行し成果をあげるタイプと、周囲の動きに合わせ流されていくタイプ。前者は敵を蹴散らし、後者は敵をつくらない

▼無投票阻止が話題の市長選だが、内実は多様かもしれない。