2022年12月10日(土)

▼設置検討中の県立大について、県議会で三谷哲央県議が「有識者は誰も責任を取らない。議会の判断を最優先に考えるように」。議会が責任をとった例がにわかに浮かばないが、有識者会議もまた同様

▼特に今回は結論が「設置の必要性は一定ある」で、指摘事項が「多額の費用を要することや、運営体制整備の検討などに留意」。3歳の幼児でも、と言っては言い過ぎだが、この程度のことは有識者ならずとも、である

▼議会で反対の声が相次いだのは当然だが、「設置には意義がある」と言った県が事業者対象にアンケートを実施した。卒業生を採用するかどうかでは「ない」と答えた事業者数が「ある」を上回った

▼「県が想定する学部」について、である。何の変哲もなかろう学部に関心を示す企業がそうあるはずもない。教養学部はほぼ五対一だった

▼埼玉県新座市に創立間もない跡見女子大を訪ねたことがある。教職員は明治創立の流れをくむ都心の跡見女子短大への対抗心が強く、週刊誌の「女子大生ヌードグラビア」を見せられた。「跡見女子大生」とある。「真っ赤なうそなんです」。週刊誌に確認し、厳重抗議をしたという

▼お茶の水女子大が「女子大生ホステス座談会」の週刊誌特集を示し「我が大学からもこういう人がでるようになった」と誇らしげに語ったのとは対照的。新設大学の水準を少しでもあげるという意気込みを感じた。大事なのは設立後の情熱である

▼ともかくもあなたまかせの年の暮(一茶)―有識者会議も卒業生の採用アンケートも、そんな気で県は実施しているのかもしれない。