2022年9月9日(金)

昔、県に「大悪」「小悪」の異名で呼ばれる職員がいた。名前が同じで、ルール無視の強引な手腕も同じ。体の大きさの違いで大小の別がついた通り名がついた

▼責任あるポストに内定した職員に臨時職員との不倫疑惑が浮上した。その数日後、疑惑の職員は同姓の別人だったと人事担当者がほっとした表情で笑った。ストレスで職員駐車場の車を次々傷つけていた職員を、数日の張り込みで捕まえたこともある。男女関係のうわさから職員の不行跡ぶりまでよく知っていたし、いわゆる札付きの職員については周囲でうわさになっていることが多かった

▼津市が運営するボートレースのテレビ広告をめぐり、特定の広告会社に便宜を図る見返りに現金を受け取った疑いで津市職員らが収賄容疑で逮捕された。市の上司は、逮捕された職員の勤務態度に問題はなく、真面目でリーダーシップを発揮していたという。いわゆる模範的な職員が、業務に関して謝礼を受け取り、今後の契約も約束していた

▼津市は、元自治会長に対し、市長はじめ市ぐるみで長く便宜を図っていたことが問題になったばかり。処分者は150人を超え、見て見ぬふりを決め込んでいた職員はその数倍に及ぶ。それに比べれば真面目だったか。そう言わねば自身の管理能力が問われるか

▼ボートレース事業は前葉泰幸市長の実績の一つ。身売り論を覆し、舟券売り場を開設。全国のレースを購入できるようにしV字回復させた。平成29年には岐阜県に場外舟券売り場を新設。「時流を捉えた業界戦略」と胸を張る

▼その翌々年から収賄は始まった。