2022年9月7日(水)

▼三重県の環境改善事業に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連団体が深く関与していた。県環境生活部は「認識していなかった」。同部大気・水環境課は登録を取り消すかどうかについて「今のところ検討する予定はない」。そんなことに深入りし、責任をとらされてはかなわんという声が聞こえてくる気がする

▼県の政策について「悪しき平等」と言ったのは鈴木英敬前知事だ。県に利益をもたらすことが分かっているのに、公平や平等という行政の建前で逃すのはおかしいという説で、法の前の平等に異を唱えているようだが、別の意味で県に「悪しき平等」がはびこるきっかけは情報公開条例でカラ出張をはじめとする職員らの巨額の公費横領、恣意(しい)的な執行が暴かれるようになったからである

▼職員は萎縮し、書類上の手続きが整っていれば申請者が反社会的勢力であろうが中身を問わず見て見ぬふりをする方が安全、という意識・規範が浸透した

▼「お得ですよ」と言われて個人情報を渡し、何に使われているかなど気にせぬ時代である。まずは「知らなかった」、続いて「申請内容を精査する権限も、求められてもいない」と言うに違いない。うかつに団体を取り消しては別の蛇がぞろぞろ出てきてしまう。新制度の議論をのらりくらり続け、嵐が通り過ぎるのを待つのが得策、という思いだろう

▼県男女共同参画センターでは「特定の政治・宗教を支持する団体でないこと」の要件がすり抜けられていた。担当者は「(登録時に)団体側に確認したはず」。それ以上は知らなくても不都合はないのである。