2022年9月2日(金)

【はしご車による逃げ遅れ者役の救出=伊勢市小木町のイオンタウン伊勢ララパークで】

▼人間は裏もあれば表もあるが、「表裏一体」ともいう。相反する二つは密接で切り離せない

▼安倍晋三元首相の国葬について、一見勝之知事は「国の行事なので参加すると思う。三重だけが参加しない理由はない」。政策を語るに無味乾燥だが、質疑応答になると、表現が多彩になる。それらが表裏一体。いずれも本音がよりにじみでておもしろい

▼「国の行事なので―」は、換言した「国が決めたことなら要請に応じる」と同じ。上意下達の精神が身についているということだろう。忖度(そんたく)と親和性がある官僚の気質だ。「三重だけが参加しない理由はない」というのは横並び意識が強いということか。やはり官僚として欠かせない

▼国との距離感は歴代知事によって違った。4代前の田川亮三は農林省(現農林水産省)出身だが、労働組合の活動歴が長く、知事候補になると「華麗なる転身」などと言われた。国の施策を県政にいかに取り入れるかに腐心し、問題が起きると国に責任転嫁した

▼続く北川正恭氏は国の施策をリードする気概で、次の野呂昭彦氏は国策を批判。独自性を出すことに力を入れた。鈴木英敬氏はほとんど無批判で国の施策を受け入れた。伊勢志摩サミットがそうであり、自民党候補の応援に回ったり、旧統一教会関連団体への祝電が話題になるのも、上意に思考停止し、忠実に従ったことの特性が現れたのではないか

▼パフォーマンスなき鈴木県政を一見知事が引き継いで見えるのは、国との距離感に共通性があるからかもしれない。地方分権などという言葉はその辞書にないのかもしれない。