2022年8月18日(木)

▼鳥取県知事や総務相を務めた片山善博氏が雑誌『世界』で、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会が7月、初めてエアロゾル感染に真正面から取り組む考えを示したと評価している。空気中に拡散された微粒子を吸い込む、いわゆる空気感染で、片山氏は二年前、政府が空気感染はないと文書に記していることを批判していた

▼文書からは削除されたが、その重要性を強調する方針がこれまであいまいだったのは、一度「ない」としたことでの〝メンツ〟ではないかと推測している。専門家にも、役人に似た気質があるらしい。重要な感染源と言い出しにくく、「三密(密閉・密集・密接)という言葉遊びのような表現でお茶を濁した」と手厳しい

▼確かに、飲食店は感染源ではないと言ったのは鈴木英敬前知事で、人流が感染源ではないと言ったのは一見勝之知事。「密閉」だけが残された格好だが、拡大の原因を岐阜県知事に問われて、一見知事は「何か原因があるわけではない。BA・5への置き換わりが進んでいるからだと思う」。二週間後、BA・5対策強化宣言を発令した

▼片山氏はまた、先の分科会が、高齢者施設などの空調施設の更新を促していることを重視する。現在の中央集中方式の空調は、冷暖房に切り替えると室内七、外気三の割合で混合され、循環する空気を多く吸っていることになるらしい。冷暖房の時期になると感染者が増える

▼換気を指導するようになった県でも高齢者施設のクラスターが相次ぐ。関連はどうか。自分が危険箇所に置かれていると気づかぬのが、現代の災害被害である。