2022年6月30日(木)

▼「遅かりし由良之助」と言っても若い人にピンとくるかどうか。赤穂浪士を題材にした浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」で、赤穂藩主、浅野内匠頭が切腹の刃を腹に突き立てた時に家老大石内蔵助がモデルの大星由良之助が駆けつけた時のせりふ。待ちかねた、あるいは間に合わないの意味

▼意図的な敗退行為の指示があった日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズの「百年構想クラブ」入りをサッカー・Jリーグは正式に失格にした。復帰の条件にガバナンス(組織統治)体制の改善を求めていたが「客観的に判断できうる体制が構築されていない」

▼JFL鈴鹿問題はここにきて目まぐるしく動き、〝八百長問題〟に先立つ2500万円を脅し取られた問題で、元役員が6月20日、鈴鹿署に逮捕された。同21日には、三浦知良選手の兄泰年氏が役員兼GMに就任。同日は、運営会社の社長ら役員4人が辞任。株式の分割譲渡も発表したが、ガバナンス改善を認めるにはあまりに遅かったのではないか

▼Jリーグがステイクホルダー(利害関係者)の変わらぬ支援も復帰条件にしていたが、鈴鹿市の末松則子市長は「重く受け止める」「変わらぬ支援」を繰り返したが、結果的に効果はなかった。同市長も「重く受け止める」は口先だけ。誰もが納得する客観的証明を示すことはできなかった。見直しは市民への責任だろう

▼運営会社のスタジアム建設に市が関与するとし「行政の目が入る方が問題が起きにくい」。市スポーツ協会会長に自ら異例の就任をせざるを得なかったことは忘れているらしい。