2022年6月23日(木)

▼「目標はあくまでも目指す姿を達成すること。KPI(重要業績評価指標)は施策の進行度を図るための指標で、これ自体が目標ではない」。三重県の中長期計画に施策ごとのKPIを設けたが、数値目標としては扱わないことの県の理屈だった

▼理屈とこう薬はどこへでもつく、という。ああ言えばこう言う、が県職員の代名詞だが、煙に巻くというのも、自分たちの新たなキャラクターに加えるつもりかもしれない。進行管理さえしていれば、結果責任は問わない。目標値のハードルを実質低くする試みである

▼兆しは、首都圏営業拠点「三重テラス」の来館者目標を前年度より低く設定したことから現れていた。伊勢志摩サミットで前年度が好調だったことが理由。質の転換の時期などと言い出し、別の指標を設けようともした。いずれも気楽なお役所仕事に見え議会から猛反発を受けた

▼今度は中期計画「みえ元気プラン」の最終案に、消防団員の減少数を前年度比ゼロにする目標を盛り込んだ。ただし「必ず到達するように設定したわけではない。ゼロに向かって頑張っていく指標と考えている」。三重テラスのように前年度実績がよかったわけでなく、KPIのように新しい概念を導入するのでもなく、漫然と、目標未達成に備え伏線を張った

▼議会常任委が反発。委員長は「後ろ向きな答弁に聞こえる。目標を必達する意識を持ってほしい」。県当局の答弁がないのは押し黙っているせいか。小言が頭の上を通り過ぎるのを待つ心境かもしれない

▼昔に比べ職員は賢くなった気がするが、質は悪くなっているようだ。