2022年6月6日(月)

▼ウミガメネットワーク三重の米川弥寿代会長が、津市高洲町・中河原海岸の清掃活動で「行政にも事情があると思うが」と切り出して「ウミガメの上陸、産卵までに片付けていきたい」

▼活動はマックスバリュ東海の主催。米川会長のコメントが前段と後段でややつながらない感じがするのは前葉泰幸津市長が開会式に出席していたせいか。「海岸清掃は行政が取り組んでいかないといけないが、追いついていないのが現状。今日は力をお借りしたい」というあいさつを受けてだからだろう

▼「事情はあろうが、やるべき責務はきちんとやってもらわなければ」と言いたかったのではないか。清掃、とりわけ海岸清掃は徒労感を募らせる活動である。一度きれいにしてもたちまち漂着してくる。県などの調査ではごみは県内だけでなく愛知、岐阜両県の河川からも伊勢湾に流出している。そのことが責任の所在をあいまいにする

▼いつぞや三重テレビが大学と共同でプラスチックゴミの流出先をシミュレートしていたが、ほとんどは県内からだった。清掃はボランティアへの依存度が高く、その活動の広がりがボランティアの負担軽減につながり、身近なごみの散乱を減らすと県は説く

▼実際、県が活動に乗り出すことはあまりない。平成21年度の「県民の日」イベントで海岸清掃が行われ、28年度の第14回海ごみサミット三重会議で知事の活動が目立った程度。継続性はない

▼中河原海岸のウミガメ産卵はその翌年以降、確認されていないという。地球環境への県の取り組みに警告を発していると言えなくはない。