<まる見えリポート>参院選展望 三重選挙区で山本氏と芳野氏が激突

【(右から)山本佐知子氏、芳野正英氏】

今夏の参院選三重選挙区(改選数1)では、自民党公認の山本佐知子氏(54)=公明推薦=と、無所属で立憲民主党と国民民主党の推薦を受ける芳野正英氏(47)の新人2人が出馬を予定している。山本氏は自民の国会議員を軸に、地方議員、業界団体など強力かつ盤石な支援体制を敷き、選挙戦に臨む。一方、無所属の芳野氏も国会議員や地方議員、連合三重などでつくる「三重ノチカラ」を結成し、幅広い支持を呼びかける。自民は昨年の衆院選に続き党勢拡大を続けるのか、野党側は今期限りで引退する立民現職の芝博一氏の議席を死守するのか、天下分け目の戦いを迎える。

山本氏にまず追い風となるのは、昨年10月の衆院選で比例復活の1人を含め、全4選挙区に国会議員が誕生したことだ。特に平成8年の小選挙区制導入以降、初めて2区を奪取し、勢いづく。

衆院選の県内4選挙区の各候補の得票総数は自民が約44万票に対し、立民が約35万票。投票率の変化もあり、参院選ですべてこの数字が置き換わる訳ではないが、自民としては上げ潮ムードが漂う。

「国会議員がフル活動できる状況は心強い」と自民党関係者。それに呼応するかのように、建設業界はじめ業界団体の動きも活発化しているという。

この大型連休では10日間かけて県を縦断する「さち活キャラバン」を編成し、全29市町の百カ所で街頭演説を行った。組織力を含め馬力を見せつけた格好だ。

陣営が目指すのは山本氏が6年前に初出馬し、芝氏に惜敗した際に得た約42万票の上積みだ。参院選では国政状況も票に左右されるが、今のところ岸田政権は安全運転をしており、選挙を揺るがすような逆風は吹いていないもよう。

一見死角なしに見える。が、県連関係者は「相手方に比べ優位に立つ部分は多い」としつつ、「楽観ムードが一番怖い」と早くも組織の緩みに警鐘を鳴らす。「国会議員の数や動員数で票が決まるわけではない。選挙は最後まで何が起こるか分からない」(同)と気を引き締める。

芳野氏は出馬表明が今年2月と山本氏に比べ出遅れた。3年前の前回選に出馬し、前回同様、無所属での2度目の挑戦となる。

県内情勢では2区で立民現職の中川正春氏が惜敗し、選挙区で唯一、当選したのは元副総理の岡田克也氏だけとなった。党勢退潮は否めない状況になっている。

活動は県議会会派・新政みえを主力部隊に、選対本部長の岡田氏も気を吐いているとされている。が、田村憲久元厚労相や鈴木英敬前知事ら自民の国会議員団を前に、さすがの岡田氏も分が悪いか。

強力な集票組織として期待したい連合三重の動きも気になるところだ。前回同様、連合三重だけでなく、国民系の産別からも推薦を得た。ただ、立民県連と国民県連、国民系産別が本格的にぎくしゃくし出したのも前回参院選から。関係者によると、「関係修復はあまりされていない」と冷ややかに見る。

一方、立民系の陣営関係者は「前回は市民連合が間に入るなどして一部産別の反発を招いたが、今回それはなくすっきりしており、支持してもらいやすい環境は整っている」と期待を込める。

約34万票の前回票をいかに上積めるかがカギとなる。陣営関係者は「衆院選で党勢に陰りが出たのは事実」としつつ、「新たな支持層への食い込みなど、3年前に比べ好転している面もある」と強調。「確かに相手方は戦力、資金力も豊富。ただ勝機はある。総力戦で臨み、必ず勝利したい」としている。