2022年04月30日(土)

▼コロナ禍で不思議に思うのは、一見勝之知事が観光地支援策に言及するタイミングで、県内のコロナ環境に不安をかきたてる現象が見られる気がすることだ。県民を対象に県内旅行の代金を割り引く「みえ得トラベルクーポン」(県民割)を5月に実施すると発表した28日も、新規感染者が前日比、前週同日比で減少したにもかかわらず、医療機関でクラスター(感染者集団)が発生した

▼知事自身、そんな日を選んでいるわけでもなかろう。むしろ逆に思えるが、事実はきっかけをとちったかのようにコロナは不穏な動きをみせる。同じ景気振興策を発表するのでも前知事時代は見られなかった。それだけ第6波は感染が拡大して激減現象がなく、しかも状況は不安定ということだろう

▼知事も、比較的前のめりではあろう。就任以来コロナ対策に忙殺され、それ以外の目立った施策は打ち出せていない。そのコロナ対策指針「みえコロナガード」も、今や有名無実の感なきにしもあらず。4月の県民割第1弾がほとんど唯一「一定の効果はある」と胸を張って言える施策。ここは一番、成功体験にすがりたくなるのは分からぬでもない

▼対象を近隣県に広げる「ブロック割」を県民割開始の9日から5日遅れの13日からとしたのも、不安定なコロナへの用心からか。すっかり指標としなくなった感染者数に代わり、最終判断は連休明けの病床使用率を見た上とし、現在の17・4%が40%以上になった場合という高いハードルを見送りの目安とする

▼何とか成功させたいすがるような気持ちはむろん知事と変わらない。