2022年4月6日(水)

▼差別の被害者側から申し立てを受けた県は、加害者側へ勧告するなど、差別事案へ介入することを責務とする条例案を県議会特別委員会がまとめた。5月にも成立という。これまで差別事案に介入してこじらせることが多く、相談事例などは直接関与せず、県人権センターが関係各団体を紹介するコーディネートの役割にシフトしてきたが、引き戻されることになる

▼障害者差別条例の成立後は、県の意識の低さが障害者団体からたびたび指摘された。虐待事案では児童相談所の関わり方がしばしば問題となり、いじめ問題でも学校、教委などの鈍感さが第三者委員会などで指摘され、裁判にまで発展している。県の付け焼き刃の体質が改善されるかどうか

▼国連が平成七―16年を「人権教育のための国連十年」と定めて行動計画を策定し、うち報道機関などへ理解を求めるとしたことを受けて、部落解放同盟県委員会が報道機関と話し合う場を県に要請したことがある。年に一回で二回ほど開かれたが、いずれも報道機関側の姿勢が厳しく問われる形になり、険悪な雰囲気になった

▼報道機関側は今後の対応を検討し、淡々と継続していくことに決めたが、県は両者の対立にあぐねたか、翌年からは第三者を講師に招いての講演方式に変更した。問題の解明に不適切とされていた方式だが、県としては問題解明より事なかれ主義を優先させたと見える

▼差別問題は、時にPTSD(心的外傷後ストレス障害)問題もはらみ、県人権センターで暴行事件に発展したこともある。まず事なかれ主義の脱皮から始めねばなるまい。