大観小観 2022年3月19日(土)

▼平成30年8月に県立高一男子が自殺した問題で、県が設置した県いじめ調査委員会は七件のいじめと、うち六件が自殺と因果関係があることを認定した

▼先に調査した県教委の県いじめ対策審議会も六件のいじめと自殺の因果関係を認めていた。六件が同じかどうかについて、調査委は「審議会の報告書が非公表のため、答えられない」。県であれ県教委であれ、法が定めた審議・調査機関の報告書が、非公開であることは極めて例外でなければならない

▼同じ高一男子のいじめ自殺問題の報告書について、県教委の審議会は非公開、県の委員会は公開と対応が分かれた。県教委の報告が遺族の気持ちに寄り添っていないなどとして県の調査委が是正の意味も含めて改めて調査することになったのは周知の通り。その役目は果たしたかに見えるが、県教委の非公開を是認するかのような説明はあまりにしゃくし定規で、そんたくしているように受け取られないか

▼遺族から再度の調査依頼はなかったが「表現に不満な印象を受けた」という。「本人の生活状況」として家庭内の不協和音の方は、遺族の話としてではなくあれこれ書き込んでいるのだから、何か理由があるかにも勘ぐられ、大きなお世話ではあろう

▼県教委の報告がいじめ六件を自殺の一因としたのに対し、県調査委は「自殺の原因」としている。加害者とされる生徒からの聞き取りについて県教委の木平芳定教育長が「再三要請したが、応じてもらえなかった」としていたが、調査委は二回聞き取っている

▼県教委が事務局を務める限界、不信を増幅させる。