2022年3月16日(水)

▼三重県立看護大の学費を法が定める議会の議決を経ずに引き上げていたことについて、所管の県議会常任委員会の田中智也委員長が「知らなかった。事実関係を聞き取りたい」。言葉通りなら、県職員の生態をあますところなく物語っていると思う

▼県職員は平素は公平公正な仕事を心掛けるが、ひとたび責任を問われる立場になると巧みに論点をすり替えたり、木に竹を接ぐようなことをいとわない。担当職員は議決の必須を「認識」していたのに違法な手続きをしたことについて「議案が通らないと多くの方々に迷惑を掛けてしまう」

▼受験料徴収後、それほど日をおかずに引き上げ議案が議会に出され、常任委は全会一致で「可決すべき」と採択している。本会議で議決されることほぼ間違いない。「多くの方々に迷惑を掛ける」とは何のことか。迷惑を掛けられたのは、結果的に違法を見破れずに可決して、これから後処理など、赤っ恥をかかされた常任委員会委員の面々なのではないか

▼引き上げ対象は、新型コロナウイルスなどの感染対策に対応した認定看護師を養成する新年度からの新課程という。三重大付属病院と連携して開講。すでに開講済みの各病院に受講料補助をしている。昨年9月の県看護職員確保対策検討会で必要性が強く指摘され、教育プログラムの開発が求められていた

▼常識的に考えればそれら整備が間に合わなかったのかもしれない。学費引き上げにかかわらず、そうした場合に県職員はどうするか。バレなきゃいい、あるいは〝超法規的〟対応を取ることはそう珍しいことでもないのである。