2022年3月15日(火)

▼一見勝之三重県知事が県庁舎の建て替えに向けた検討作業に着手したことを明らかにした。県職員出身の舟橋裕幸議員が県議会一般質問で老朽化、手狭を指摘して建て替え時期にきていると促し、知事が「財政状況を踏まえて新築はなかなか難しい」「公的施設を立派にする必要はない」としながら一転。「いずれ時期は来る」ので担当部局が「考えている」

▼財政難を抜け出したと思ったらまず庁舎建設か。既視感がある。第二次石油ショック(昭和53年)後の予算修正を迫られたほどの財政危機を脱してバブル経済に向かう中で、議会は中断されていた庁舎建設再開の大合唱を繰り広げた。出先機関の最後尾に議会棟建設が位置づけられていたからだ

▼庁舎等建設特別委員会が設置され、伊勢庁舎、県警本部、議会棟が順次建設されていく。「県民に説明できる透明性」と、設計事務所は昭和39年の県本庁舎を設計した東畑建設事務所と日建設計の2社相見積もりとしたが、日建設計は日照権設定でのミスを理由に下りてしまった

▼建設会社も、有力視された県本庁舎建設の大林組が、入札前に議員宅へ受注あいさつに回ったと特別委で問題になり、指名から外れた。県警本部の総工費に「負けてたまるか」と、議会棟の建設費は跳ね上がった

▼各庁舎の指名手続きも不自然で大混乱。総務部の責任者が首をかしげた。57年前の本庁舎建設も、1社を除く指名業者が全員、予定価格の下限値を下回って失格。議会が落札業者との契約を拒否した例として専門書に残った

▼狂騒劇再演のジンタが聞こえてくる気がする。