2022年3月11日(金)

▼90歳の長寿をまっとうした英首相チャーチルは晩年まで葉巻を愛し、徹夜パーティーも辞さず。酒の好みもうるさい。「やりたいことをやる」と性格も豪快だったが、歩き方は小走りだったという。それが健康によいと吹き込まれていたからとされる

▼歩くのが健康に一番ということは、今日疑いをはさむ向きは少ない。同じ歩くのなら少しでも効果的にと思うのも人情というものだが、その方法というのが専門家によってなかなか多様だ。本紙の健康欄では歩く間隔を短くして早足、が推奨されていたが大股がベストと信じている人も少なくない

▼階段の上り下りは歩数の三倍の効果とも言うし、一日グラウンド2周のジョギングが健康寿命を大きく延ばすという説もある。メタボが目立つようになったころ、医者から一日1万歩を宣告されたが、米国の国際チームが、60歳以上では6千歩で死亡リスクが半減という研究結果を英医学誌に発表した

▼それ以上歩いてもリスクに関係はなく、ペースが影響することもないというのが、コロナ禍で一段と増えたお年寄りのウオーキング組にはつれない。年金は目減りし諸式物入りで、高齢者を死に誘うコロナに対抗して免疫力を上げるには元手いらずの歩く以外にないと、手を携えて木枯らしに立ち向かう夫婦の気をくじくことにならぬか心配だ

▼一日2万歩をノルマにしている知人がいる。退職後、これぐらいはと風雨の中でも続けている。歩く効果は死亡リスクの回避だけでもあるまいし、健康寿命との関係は別に違いない。何よりこの気力が若さを保つ秘訣(ひけつ)となる。