2022年1月31日(月)

▼昨年2月から計10回に及んだみずほ銀行のシステム障害の原因がようやくふに落ちた気がする。本紙が検証・1年の記事で伝えていたのは、新システムの開発が、合併前の旧興銀、富士銀、第一勧銀3行別々に進められていた経緯だ。船頭多くして船陸に上がったに過ぎないことが分かる

▼旧第一勧銀は第一銀行と勧業銀行の合併行で人事は両行交互の厳格なたすき掛けで知られるが、システムもそれぞれが温存され、間を交換機でつないだ。このため預金規模は旧都銀筆頭ながら、システムは最後尾に位置づけられていた。3行合併でも考え方は踏襲されたらしい

▼旧富士銀は旧都銀13行の中で最先端のシステムを誇り、興銀はマクロ経済分析ソフトに優れていた。旧第一と勧銀との流れを保持する第一勧銀との3行との新システム開発に「3行のそれぞれと関係の深いメーカー4社が開発の中心を担った」という。この段階で、障害発生は必然だった

▼金融庁などは障害の原因を「風通しの悪い企業風土」や「合理化に伴うシステム要員の大量削減」に求めた。遠因には違いなくても、直接は、誰もシステム全体を知らないことだろう。四社は障害の都度、担当する範囲をチェックし、原因と見られる箇所を修正しても、それがまた全体への設定の変更をもたらし、別の障害を誘発することになったに違いない

▼障害は、みずほホールディングスの人事、企業風土がそのままシステム開発部門にも凝縮された結果なのだろう。そうなってしまったシステムは、例え組織の問題が解消しても、正常化への第一歩に過ぎない。