大観小観 2022年1月22日(土)

▼「人口減少対策元年」と言われても「スポーツ元年」の腰砕けを見たばかりの目には半信半疑だったが、本紙政経懇話会で一見勝之知事が「このままでは子どもや孫の時代に大変なことになる」と強調されると、その深刻さを実感する

▼人口減少対策に特化した課を設けるとし、現状が「(その)課がないことに驚いた」と言われるとそんな見方をしていなかったことを恥じ入りもする。婚活や移住政策など県の少子化対策に焼け石に水の思いはあったが、県子ども・福祉部少子化対策課が「担当課がない」と言われるほどとまでには思いが至らなかった

▼仏は作るが魂は別―といういつものことだったに違いない。少子化社会対策基本法の成立が平成15年。県が「地域少子化対策強化計画」を策定したのは同26年で単年度計画。10年単位の「みえ子どもスマイルプラン」着手は翌年で、熱意は推して知るべしだった。県内市町では、伊賀市の人口減少対策等研究グループが同年、少子化専門の部門設置を提案している

▼ビジョン戦略部の下に3課を設け、若い世代、女性が働きたい街、起業しやすい街ナンバーワンを目指すとしている。実現はまだのようだが、市各界各層の代表者らで市少子化対策推進委員会を組織し毎年、対策を重ねる

▼令和2年国勢調査によると、県の総人口は前回(平成27年)比2・5%減だが、伊賀市は増減率で川越町に次ぐ県内2番目の8・8%増。「知恵のない市はつぶれていく」「私たちはつぶれない街をつくる」という中長期の危機感と決意が、効果が出てきたのかもしれない。