2022年1月1日(土)

▼第一次世界大戦中に全世界で5億人が感染し1億人以上が死亡し同大戦を終結させたとされる「スペインかぜ」の名称がスペインにとって〝濡れ衣〟であることは知られている。戦争下での各国の情報検閲の中で、自由に報道する中立国スペインがありがたくない名前を頂戴した

▼報道被害にエリを正す気になるが、当時の情報統制で100年以上を経てなお発生源が定着しない。情報統制があっての報道被害でもある。日本でも大きな被害を出したが、香港巡業から帰国した力士から広がり「力士病」と呼ばれた。かつて梅毒は「唐がさ」。フランスは「イタリア病」、イタリアは「フランス病」と言い合った

▼新型コロナウイルス症も、米中がお互い発生源だと争う。悪いことは押しつけ合い、情報非開示が影響する人間の習性が垣間見える。オミクロン株を最初に世界に報告した南アフリカも、同株の発生源と見なされ、風評被害が深刻。それ以前にオランダで大量感染者がいたなどの最近の報道もある

▼英国株、インド株など変異株の名称にアルファからのギリシャ文字を順に充てることにしたのは特定地域に被害を及ぼさないため。その13、14文字めを欠番にして15番めのオミクロンにしたのは、うち一つが習近平中国国家主席を連想させるため

▼コロンブスがアメリカ大陸からもたらしたたばこが日本到来まで100年以上。梅毒は20年。新型ウイルスは1カ月未満。激動の中で迎える新しい年。えとのトラは最強の動物で、躍動の運勢とされるが、今や絶滅危惧種の印象が強い。一層の変動、絡みを予感させる。