2021年11月27日(土)

▼伊賀市議選を巡る県選管の当落判断について、取り消しの訴えを受けた名古屋高裁の裁決は棄却だったが、県選管の判断理由はことごとく覆された上で、結論だけが県選管の判断通りで、いわゆる「結果オーライ」。「われわれの主張が認められた」というコメントは出せない

▼3月の伊賀市議選で、県選管は次点となった福村教親候補からの異議申し立てを認め、北山太加視氏の最下位当選を無効にした。市選管が北山票と判断した「北山さとし」の2票を、別の「岩田佐俊」氏と判別し難いとして案分にもせずに無効とし、市選管が無効とした「福岡のりちか」の1票を、名前に類似性があると福村氏への有効票にした

▼差し引き3票差が埋まり、同数になったが、名古屋高裁は前の2票を北山票に戻し、別にもあったという「福岡のりちか」の2票を福村票に加えた。結果、2人の得票は同数になったというのだから数字のマジックを見せられた心地がする

▼仮に裁判が続いたら、また中身が違ってきて、わけがわからなくなるのではないか。かつて県選管OBから「異議申し立てがあっても投票箱を開いてはいけない」が不文律と聞いたことがある。収拾がつかなくなるからで、その言葉をまざまざと見る思いがするが、民主主義の基本である選挙の審議にそんな不文律があっていいはずはない

▼県選管が有効、無効の票の差し替えをしたのは旧習打破の意気込みだったか。有効票と類似の2票を見逃していたというのはお粗末。「生兵法は大けがのもと」と、前例踏襲の先輩らにやゆされることがあってはなるまい。