2021年10月27日(水)

▼退任後、前知事への県庁内の不満があちこちで噴き出しているといううわさは、話半分ほどには当たっているのかもしれない。辞職を追いかけるように三重とこわか国体・大会の延期が断念され、今度は前知事肝いりで任命された田中淳一・最高デジタル責任者(CDO)のデジタル社会推進局長職兼務が解かれるという

▼とこわか国体・大会開催断念が財政問題という安易な理由だったが、兼務を解くのはCDOに専念させるため。もっともらしい理由が、県のいつもの手口を思わせる。「余人をもって代え難し」「君の能力に期待、見込んでの起用だ」と言って実質左遷させる。そう言われ、うつになりかけた職員も

▼言いがかりのそしりを招きかねないが、電子県庁を唱えた北川正恭元知事が専門家として外部人材を登用した時もそうだった。最初は特別職の参与。日をおかずに一般職の局長に。次いで部長に起用し、県職員らの不満がくすぶった―「参与でいいではないか。なぜ一般職に」

▼前知事はよく言えば県民の声に、うがって言えば時の流行に敏感だった。急転直下の土砂規制方針などは、県幹部らの議会答弁を180度転換させた。県教委は調査をやり直しされ、RDF(ごみ固形燃料)焼却発電事業総括も。過去の検証を嫌う職員をげんなりさせた

▼島サミットの再度誘致を表明し、そのための「太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワーク会議」を年度内に開くと言明したが、静かに立ち消えになっていくに違いない

▼知事退任後は政界から引退した北川氏と違うから「負の遺産」などとは言うまいが。