2021年10月2日(土)

▼日本を愛し、日本国籍を取得した日本文化研究の第一人者ドナルド・キーンさんの晩年、「日本語がお上手ですね」と声をかける日本人は少なくなかったという。日本や日本語の知識が劣っていることに気づかず、〝日本人〟としては自分が上、という根拠のない自信を持っているのが島国日本人の特徴といえようか

▼大相撲の外国出身力士を見ているとよく分かる。謙虚に振る舞っている限り愛されるが、感情をむき出しにすると「国へ帰れ」の罵声が飛ぶ。言う資格が自分にあると思い込んでいる。かつてハワイ出身の小錦の心情を吐露したとされる「横綱になれないのは人種差別」報道があった

▼45回の優勝を誇る大横綱白鵬が年寄り襲名するにあたり、相撲協会は行動規範を確認する「誓約書」を提出させたという。現役時代の取り口や独善的行動で、理事会では懸念の声が上がったらしい。署名した白鵬の心中はいかばかりか

▼破竹の連勝を重ねていたころ、白鵬の愛読書は宮本武蔵著『五輪書』だった。「先の先」「後の先」などと口にし、生兵法の言葉が脳裏に浮かんだが、平成22年11月場所の2日目、連勝が63でストップした時、場内はバンザイで沸き立った。以来、白鵬の読書も取り口も変わったという

▼かつて北の湖は場内の「負けろ」のヤジが「頑張って」に変わった時、引退を決意した。白鵬は異国の孤独を味わったのではないか。父が反対した日本国籍を取得した。愛読書は『古事記』という

▼今後協会理事らの顔をしかめさせることはあるかもしれない。貴乃花程度に応援したい。