2021年9月28日(火)

▼もう10年以上も昔だが、三重大構内の掲示板に「障害者を装った痴漢が出没」と注意を呼び掛けていた。女子学生を狙って介助を依頼し、体を触ったりするらしい。三重大生を標的にするだけあって痴漢も知恵が回ると、深刻さとは別に感心したが、首都圏などの駅構内では、障害者の安全な乗降を目的にその所在を駅員に連絡する構内アナウンスを悪用し、女性障害者にわいせつなど迷惑行為をする痴漢が多いことが障害者団体の調査で分かり、国土交通省がアナウンス見直しを連絡した

▼三重大構内の痴漢が高級などと言うつもりはないが、障害者を狙うなどは卑劣で、殺伐とした気持ちにさせられる。学生時代を含め十数年を過ごした東京に転勤で20年ぶりで暮らし、ラッシュ時の駅構内が警察官による痴漢警戒で物々しいことに驚いた。携帯などで狙い目車両の情報交換もしているというから構内アナウンスの利用など初歩の初歩だったのかもしれない

▼国の要請を受けてJR東日本は「原則やらない方向」。顔認証システムを組み込んだ防犯カメラに駅施設で犯罪を犯した人を検知できるようにして撤去を迫られたばかり。過去には交通系ICカードのデータを無断で販売し、非難を浴びた。自分たちの便利さを追求するあまり、誰によって社会的存在が許されるかを思う感覚は失われているのだろう

▼県内でわいせつ行為といえば教職員の独壇場だが、このところ警察官、税務署員などが目立つ。マスコミ関係者の記憶も薄れていない。〝痴漢〟が増えているのは何も首都圏だけのことではないのかもしれない。