2021年9月14日(火)

▼菅義偉首相が元通産大臣の小此木彦三郎氏の秘書から横浜市議に当選して、同大臣の威光を背景に会派内で力を発揮し、議会全体への影響力を強めていく。負託は1万数千票ながら、2期目にして約370万人の同市の〝影の市長〟として市政を牛耳っていく過程は、首相就任当時よく報じられた

▼旧久居市(現・津市)にも〝影の市長〟の異名を取る市議がいた。2人の共産党市議の一人ながら何度か議長も務めたのは、同市議会が会派を持たなかったことが大きい。個人情報を含めて情報が集中する党活動を背景に他の議員を圧倒していく

▼国会はじめ都道府県、市町村議会のいくつかに〝影の知事〟〝影の首長〟がいるに違いない。いずれも、大統領選挙型で選ばれた首長以上の力を発揮しているが、菅氏を首相にし、あっという間に転落させたのもその力学だろう。〝影の首長〟ならずとも「影」が表の政治を左右しているのをわれわれは目の当たりにしたわけだ

▼12日の投開票で新知事が誕生したが、投票率は37・93%。6期目で倦怠(けんたい)感が漂った平成4年選挙に次ぐ過去二番目に低い。39万票の負託で140万有権者の代表になる。コロナ禍の選挙で、争点のなさや知名度の低さを当選した一見勝之氏は原因にあげたが、与野党相乗りで、勝敗への興味のなさを別に識者らはあげる

▼岡田克也衆院議員は人材発見の難しさ、立憲民主党県連代表の芝博一参院議員は「国政と県政は分けて考えるべき」とし、近づく衆院選の戦いを前に知事選で与野党激突は避けたい意向を示した。地方分権が遠ざかっていく。