2021年8月8日(日)

▼5回目という三重県独自の「緊急警戒宣言」発令の中で今回ほど間が抜けて感じたのは筆者だけか

▼感染拡大気配を受け「2日連続17人超なら厳しい措置」と、鈴木英敬知事は6月にルールを決めたが、7月中旬に満たしたら病床使用率、8月には重症病床使用率という別のルールを持ち出して「措置を講じる状況ではない」。過去最大の74人突破でも改める姿勢を見せず、宣言はいわば唐突だった

▼「重症者の急増には至っていない」として、再び飲食店への営業時短要請に慎重な姿勢に転じた。デルタ株で感染拡大、重症化増、ワクチン無力化の可能性があり「戦局が変わった」と米疾病対策センター(CDC)が指摘する中で、知事は発言にどれほどの確信があるのか。官邸情報をいち早く入手することで対応できる状況ではなく、むしろ後手を踏みかねない

▼宣言も、相変わらず県民の自粛頼りで、手詰まり感。宿泊療養施設の入所基準緩和や自宅療養者への支援などは入院制限への備えか。それらが機能するための医療体制には触れず、保健所の増員もこれからだという。どれも知事職中に「全う」できそうにない

▼宣言初日、津市郊外の運動公園では野球場で高校生の歓声が響き、テニスコート全3面が使用され、うち2面は20人ほどの中高年グループ。数メートル離れたベンチに切れ切れに男女の声が聞こえてくる。「感染が…」「4千人(東京に1日当たり感染者)と言ったら安濃町の人口の半分ぐらいか。えらいこっちゃ」「オリンピックはやっているんだから…」

▼県に宣言が出たことは知らないようだ。