2021年7月10日(土)

▼「生徒にわいせつ行為をした」として、県教委が県立高校の男性教諭を免職処分にしたのは3月である。この8日、県教委は教え子の女子生徒からキスをされても指導しなかったとして、県立高の男性教諭を停職3月の懲戒処分にした。「わいせつな行為」ではないということだろう

▼男性教諭は授業を担当する女子生徒から進路や友人関係などの相談を受けて携帯電話のアプリで連絡を取り合い、女子生徒を車に乗せて大型商業施設の駐車場で昨年8―9月に計3回、2人きりの状態で相談を受けていた。その際の頬へのキスは女子生徒からであり、体にも触れていないから、自宅など密室に連れ込んだのとはわけが違うということか

▼女子高校の教師を長年勤めた年配の男性と企画会社で同僚になったことがある。たで食う虫も好き好きで、男性教師が例えチンがくしゃみをしたようなご面相でも、必ず憧れる女子生徒が現れ、男性教師側がその気になれば、射止める確率はかなり高いという。思春期の女子生徒が集う女子高校という環境、教師と生徒という関係が石坂洋次郎の世界を作り出す

▼男女共学の県立高とはまた違うのかもしれないが、同じだと言える部分も少なくあるまい。女子高生は男性教諭に好意があったと言い、男性教諭も「相談に乗るうちに好意を抱くようになった」と話している。想定外だったと、県教委はいまさらのように驚いて見せるのだろうか

▼「アプリでの私的なやりとりや車に乗せたりしないよう、改めて全学校に周知した」と木平芳定教育長。生徒にではない。教育者に対してである。