2021年6月12日(土)

▼まん延防止等重点措置の重点区域大半解除と歩調を合わせたわけでもあるまいが、飲食店対象の「みえ安心おもてなし施設認証」制度の調査がようやく始まった。申請を受け付けたのが5月。それから1カ月後のスタートで、変幻自在のコロナのスピードには到底かなわない

▼県職員と委託事業者がメジャーで座席同士の距離を測るなど、調査基準55項目を確認した。「蓋(ふた)がある場合は、蓋を閉めて汚物を流す」というトイレの使い方も当然チェックしたのだろう。コロナ対策の『県指針』は「蓋を閉めて汚物を流すよう表示する」だったが緩和した。県庁舎のトイレにフタはない。飛まつ防止は大目に見ることにした

▼感染対策に投資した調査店ではアピールにつながると期待していた。応募対象は7500店。申請はどのくらいか。この日の審査は4店だったから急がなくてはいけない。時間差で格差が生じる。認証店はステッカーを入り口などに貼り、県のホームページで公開するらしい

▼県外ナンバーの車への嫌がらせが相次ぎ「県在住者です」のステッカーを交付する自治体が相次いだが、その飲食店版だろう。芦浜原発計画のあった旧南島町ではかつて「原発反対の家」のステッカーが配られ、貼っていない商店や家は不買や子どもがいじめられた

▼北川正恭知事が平成12年、白紙撤回したが、理由は「町を二分する争いが続くのを見るに忍びない」。ステッカーは安心をもたらすカギにもなるが、歴史はしばしば差別や対立、憎しみを生み出すツールにもなった

▼くれぐれも県が扇動役にならないように。