2021年6月4日(金)

▼元津市自治会長の補助金詐欺事件で、共謀したとされる塗装業者が津地裁の追起訴審理で否認を維持した。市議会の百条委員会で補助金詐欺に加担したという市職員が多数確認され、さらに広がる気配。詐欺罪で裁判にかけられた被告の方は共謀も虚偽の見積書作成も否定する。市民は首をひねるばかりだろう

▼初公判で元自治会長が容疑を認めた時はえっ、と驚いた。逮捕直前に地域紙に補助金搾取の事実関係を知らないとし「職員のそんたくじゃないか」とうそぶいていた。逮捕・起訴段階で捜査当局は認否を明らかにしなかったのは搾取はともかく、実行の裏づけが難しいのだろうと思っていたからだ

▼捜査当局のストーリーは多数の職員が代わりに作業したり、申請書など複雑に書類を代筆、あるいは過去の類似書類を援用したというのではない。塗装業者が単独で虚偽の見積書、領収書を作成し、市に提出したという構図。工事をしたかどうかは不鮮明。介入したのが明らかと市議会審査で指摘された職員たちの影も形もない

▼2月の逮捕以来、元自治会長の類似容疑での逮捕が計3回、塗装業者が2回。逮捕を繰り返して長期間、身柄を拘束する〝人質司法〟の面目がここにも見られるが、否認し続ける被告の重圧は並大抵のことではないといわれる。市の調査では、市と自治会の特別な関係を始めたのが先に逮捕された元中央市民館長で、容疑は虚偽領収書や関係書類を添付したこと

▼それは防犯灯工事の話で、集会所や掲示板工事の虚偽見積書などは塗装業者単独。職員はまんまとだまされたというのだろうか。