2021年3月24日(水)

▼「三重県でさえ、蜜に群がるように寄ってくる団体が300はありますから」と言ったのは、知事を退任して間もなく新聞業界の会合に講師として招かれた北川正恭氏である

▼「一心同体ですと言っていた県がころりと手のひらを返したように補助金を削減され、空き缶集めなど、お金になることは何でもやりました」と消費者団体の代表が言っていた。関係団体と距離を置き、代表者になっていた充て職を整理し始めたのは北川県政からで、野呂県政になってさらに踏み込んだ。特に慌てたのは寄付や募金活動をしている非営利法人である

▼知事が代表者であることが公益団体としての信用になり、募金活動への協力、理解も得られる。〝二人三脚〟だったはずの県職員に通告され、懸命に継続を願ったが交代が数年遅れただけだった。日本赤十字社県支部長の野呂昭彦氏の後任に鈴木英敬知事が就く。野呂氏は知事在任中も兼務だったから数少ない継続成功団体だったようだ

▼充て職整理は鈴木県政でも進めたから、野呂氏から支部長を引き継いだ鈴木知事が翌年野呂氏に譲ったのはその一環だろう。それで一段落したか、県ホームページの知事プロフィールにずらりと兼職が並ぶが、県内分はない

▼15年ぶりに就任した県スポーツ協会会長職もないから、9年ぶりの赤十字社県支部長はどうか。「災害医療や感染症対応、献血など、業務は多岐にわたる。施設の老朽化や災害時の拠点確保に課題もあると聞く」と抱負を語る

▼回り灯籠の絵のように―二巡目の変わる景色の美しさに退屈な芝居を見せられてきた気がする。