2021年3月12日(金)

▼昔、山林に捨てられたゴミの中から本紙の名入り原稿用紙があったからと、市役所から強制的に撤去を指示され、立ち入った覚えのない山奥の、見覚えのない大量のゴミを1日がかりで片付けさせられた。犬のふんの苦情対応を巡る県の保健所室長の「毅然とした対応」がどんなものだったかは知らぬが、津市の自治会長に「不快な態度」と受け止められ謝罪したという

▼なるほどその手がと思ったが、自治会長のようにはいくまい。「毅然とした対応」を謝罪したことについて、県は「不当要求行為には当たらない」。金品などの要求はなかったからという。問題は要求のない金品ではなく、毅然とした犬のふんの対応がどうなったかだ

▼行政に対する不正要求が金印であることは少ない。便宜供与中心で、その結果、不適切な公権力行使や不法行為がまかり通る。金品要求で不正要求の有無を説くのは〝ご飯論法〟に等しい。紀平勉総務部長が要綱や手引きなどの整備で「組織としての対応ができるようになっている」。「対応した」とはむろん別である

▼行政用語は分かりづらい。国と県とでも違うと思ったのは「検討する」という言葉。国が使う場合は「前向きに」と前置きしたとしても「先送り」の意味合いが強い、とひと昔前に総務部幹部。県の場合は「実施に向けてということになる」

▼県立大設置について、その利点を列挙して「しっかり検討」と言った鈴木英敬知事が、10日の議会答弁では「設置ありきだと誤解されているのでは。あくまで検討と申し上げている」。経済産業省出身知事だけのことはある。