2021年2月10日(水)

▼菅内閣の支持率が、共同通信の調査でもは40%を割った。歴代内閣と比べても高かった支持率が急落に転じたのは日本学術会議の任命拒否問題だったが、このところ続落していたのは新型コロナウイルスへの対応。今回40%を切ったのは同時に調査した森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言の影響だろう

▼検事総長の任期延長問題をはじめ、前安倍政権は人事に強引に介入し、人事権で官僚をコントロールし、菅義偉官房長官(当時)主導といわれた。その菅長官が首相に就任した途端、高い支持率を得たのは奇異に感じたが、任命拒否問題で衣の下のよろいをのぞかせ、コロナ対策で、かつて東京都の感染者増を「圧倒的に東京問題」と言い放った片りんを見せつけ、森会長辞任論には「人事は組織委で決める。私は判断を尊重する立場だ」とし、学術会議問題での「総合的」「俯瞰的」見方から一転した

▼馬脚が現れた結果か。辞任を決意した森会長を組織委職員が「オリ・パラはどうなるか」と泣いて止めたという。「あってはならない発言」としながらも、辞任論に対し、小池百合子東京都知事も「組織委の判断も必要」「交渉を重ねてきた累積もある」。実力者は何をしても許されるというハラスメント社会の理屈に似る

▼共同通信調査で森会長が「適任と思う」6・8%に対し「適任とは思わない」59・9%の事情だろう。鈴木英敬知事の「悩ましいところ。五輪が今までにない形になるかもしれない状況でリーダーを変えるのが良いのかどうか」もむろん、五輪第一ということだろう。