2021年1月28日(木)

▼県が「デジタル社会推進局(仮称)設置に伴い公募した最高デジタル責任者(CDO)に200人超の応募者があったことは驚くに当たらない。県の担当者が「目標は定めていなかったが、想定よりも多くの応募があった」と語ったことも、さもありなんである

▼3年前に経済産業省がまとめた行政文書のペーパーレス化を進める「電子政府構築計画」の実行部門のトップには募集枠1人にエンジニア500人が殺到した。国のデジタル庁の民間人枠にも、30人程度の採用に1400人の応募。処遇はともかく、国のシステムに技術が生かせることの魅力が大きいという

▼県職員の想定力の乏しさは、県民参加型予算(みんつく予算)を見れば事足りる。初年度は県職員が枠を定めたことに批判があったが、2年目は逆にいっそう強まった。初年度はともかく、2年目はどれがみんつく予算か、タイトルや中身で見分けるのは困難だろう

▼経産省出身で、国のデジタル庁設置とトップの民間人起用発表直後にデジタル推進局設置と民間人トップを打ち出した鈴木英敬知事には、200人超応募も想定内だったに違いない。「スマート改革」は経営戦略会議での東芝元会長の提案がきっかけの節がある。アプリを運営する「メルカリ」の提案でふるさと納税のフリーマーケットアプリ「メルカリ」活用を決断。NEC(日本電気)の提案で聖域の選挙事務へ同社システムを導入する

▼行政機構がICT(情報通信技術)産業の草刈り場になりつつある見方もできなくはない。行政の現状を打破するというナツメロのメロディーとともに。