2020年12月4日(金)

▼奈良県在住で新任。親族からの感染が濃厚とはいえ10月、県職員として初の新型コロナウイルス感染者を出した県立こころの医療センターで、警戒を強めて通院者にもチラシを配布し協力を呼びかけたが「そちらで出して、そんなこと言うか」の反応もあったという

▼県議会はさすが紳士であらせられる。警察学校がクラスター(集団感染)となり、やはり新任の天下り部長が感染したというのに、新型ウイルス対策を求める質問で取り上げない。それどころか鈴木英敬知事の危機管理能力をたたえるやりとりまであったらしい。知事が「大変に評価をいただき感謝」と応じた。皮肉でもなかったようだ

▼初の経済産業省からの出向で、異例の7月着任。ひと昔前なら「上級官庁を鼻にかけて」などと言い出す職員もいたろうにと、勝手に大いに職員の肩を持つ気になっていたから、知事が「県民に感染防止対策の徹底を呼び掛ける中、職員の感染で大変心配をお掛けしている」とのコメントを聞いて、国なら任命責任の声が出てもおかしくない場面と心配した。県議諸公の広い心、寛大さに大いに恥じ入った次第

▼さはさりながら部長に続き1人感染者が出て、さらに2人。雇用経済部全職員だけでなく、お隣環境生活部の一部も検査対象になって「クラスター一歩手前」と騒然となる中での議会と知事とのエール交換。いささか浮世離れしていないか

▼職員が交通事故を起こしても「信頼回復に努める」が決まり文句なのに、職員感染ではそんなこともないようだ。誰もが感染の危険のあるとの範を身をもって示したからか。