2020年10月22日(木)

▼県立高いじめ訴訟の和解成立で鈴木英敬知事は「一つの区切り」としながらも「これで終了ではなく、安心して人生を歩んでいけるようサポートしていく」。よく分からないコメントではある

▼「寄り添えていなかったことを重く受け止め、子どもたちが安心して学校生活を送っていける努力を学校や教育委員会に求める」とも。立場上、学校や県教委の非を率直に認めることもできないため、具体性のないコメントになったか

▼原告である元女子高生の父親が「県の関係者全員が不誠実で、保身の塊であった教育現場に今なお絶望感を覚えている」。和解でこれほど相手側を非難するコメントも珍しい。和解成立後の木平芳定教育長の発言が、新たな怒りを招いたからか

▼元女子高生は1年時に友だちに無視される「いじめ状態」になり、2年時にSNSで誹謗中傷される「重大事態」に。木平教育長は会見で2つの因果関係を認めず、議会審議で子ども安全対策監もその見解を維持した

▼原告側に「裏切る発言」と指摘され、教育長は発言を撤回。対策監は取材に因果関係を認めた。和解は判決と異なり、双方妥協の産物である。一つの文言の解釈が原告と被告で違うのは珍しくない

▼和解条項は「いじめ」と、それに続く「重大事態」を認める、ということだった。因果関係を強く主張してきた原告側はその文言で妥協したのに、木平教育長は自分の解釈、思いをぶちまけ、台無しにした格好だ

▼発言の撤回と因果関係を認める羽目に追い込まれた。教育者としての知事の評価とは別に、行政マンとしてもお粗末極まる。